学校腎臓病検診(学校検尿)で、血尿(尿潜血)と尿蛋白は、主に腎炎の早期発見のために行われています。血尿と蛋白尿の両方を検査する意味は、2つの検査の役割が異なるからです。


  血尿は、腎炎が存在する可能性を示しています。蛋白尿の程度は、腎炎が存在する場合その重症度と比例します。血尿と蛋白尿両方がある場合は、腎炎である可能性が高くなります。もちろん、血尿や蛋白尿があっても、腎炎などの病気ではない場合もあります。腎炎か他の疾患かを見極めるためには、精査表(連絡書)を持って医療機関を受診して、医師の診療やさらに詳しい検査(三次検尿)が必要です。


  腎炎の方に限ると、血尿が1+や±程度で蛋白尿がない人は、重い腎炎である可能性は低いのですが、血尿が高度で蛋白尿が高度の人は、早く検査・治療をした方が良い場合が多いようです。その中間は、多くの場合経過を見ていく必要があります。


  どうして、早期発見が必要かと申しますと、多くの腎炎では、早期発見早期治療であれば、蛋白尿や血尿が完全に消えてしまうところまで良くなる可能性も高いのですが、ある時期を越えてしまうと、進行が止められず、治療しても透析に至ってしまう場合が多いからです。


  こどもの腎炎の中で最も多いのはIgA腎症という腎炎ですが、放置すると30年後には30-40%が慢性透析になることが知られています。丁度、40-50歳の働き盛りの時に、慢性透析になってしまうわけです。腎移植を受けない限り、仕事、運動、食事も厳しく制限されてしまいます。小さな子供に多い紫斑病性腎炎も、IgA腎症とほぼ同様と考えられています。しかし、最近、早期に適切な治療を行えば、ほとんどの例で蛋白尿や血尿がなくなることが分かってきました。完全寛解と言って、治癒に近い状態です。


  山梨県小児科医会では、甲府市医師会や教育委員会、及び山梨慢性腎臓病協議会(YCKDI)とタイアップして、甲府市の学校腎臓病検診に2012年度から新たなシステムが稼働しています。腎炎・腎症の中には、急激に悪化して、急に全身のむくみが生じたり、尿が作れなくなったりと、急を要する場合があります。必要な場合、緊急に治療介入するシステムも新たに導入しました。甲府市では、学校検尿の評価が適切に行われ、結果によって必要な患者さんに適切な医療がなるべく早く出来るようになりつつあります。学校検尿登録医制度を導入して、多くの先生方にご協力を頂いております。


  今後は、他の市町村にも広げて行ければと考えております。
ご質問お問い合せは、小児科医会HPのトップページにありますお問い合わせフォームをご利用ください。 



2014年4月1日
山梨大学小児科腎グループ
東田耕輔
沢登恵美

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